第17回日本山岳耐久レース その4

当日は8:15に武蔵五日市着。今回はスタッフをやるKちゃんと一緒に会場入り。昨年は9時では既に中学校が埋まっていたのだが、今回はまだ中学校に余裕があり入れた。一般男子の控え室としては小学校体育館と中学校体育館があるが、中学校体育館の方がスタートに若干近く、また体育館の大きさ自体も大きいので環境としてはいいと思う。

その後HIDEPIとも合流し、受付を済ませたり他の知り合いに挨拶したりしていたらあっという間に時間が迫ってきた。
年々アドベンつながりで知り合いが増え、こういった全員が目指すような大会になるとみんなが集まって、なんだかそれだけでも楽しい。出場しない人も応援とかスタッフとかやっている。ことしのスイーパー(最後尾についていく人)が3人もアドベン関係者だったのもみても、狭い世界だなーと思う。



今回の装備について。

今回は帽子とサングラスはなし。サングラスはすぐに使わなくなるしアドベンほど薮の濃いところに突っ込まないから不要、帽子もそのうち額が汗でかゆくなるので今回は無しで行ってみた。結果的には特に問題なし。炎天下の中で帽子無しで長時間は辛いが、ハセツネに関して言えばその点は問題ないことがわかった。

シャツははcromagnonsのバイクジャージ。王滝100Kでも使用し、胸元が全開に開くので体温調節にいいため選択。これも正解だった。途中若干はだけ過ぎで変体チックだった点は反省点だが。次回以降はHIDEPIに見習い、背中のポケットをもう少し有効活用したい。

パンツはノースの短パンにタイツはC3fitを使用。今回初めて、CWXからC3fitに切り替えた、最初は膝のサポート機能がなくなるので不安だったが、そもそもタイツでの膝サポートはずれが置きやすいし、テーピングでサポートすればいいということもあったので、むしろ血流向上を重視することで後半でも脚が上がるようにC3fitを選択した。血流向上のタイツは多数出ているが、回りの人に聞いてもそこまで大差はなさそう。であればコストパフォーマンスのいいC3fitがいいのかもしれない。これは今年出たばかりだがこれから流行りそうだ。
テーピングは知識が無く、膝の毛も剃ってこなかったので貼るのに一苦労したが、HIDEPIにもらったキネシオテープが良かった。結果的に膝に何の違和感を感じることも無くゴールまでいけたので、今後もトレランは当分この組み合わせで行こうかと。

靴はSALOMONのXT-WING。直前の交換で一時はどうなるかと思ったが、予想以上の働きだった。靴紐の構造が他の靴と違っていて、その分脱着が簡単なのがメリットだったのだが、加えて脚をホールドしてくれる感覚がmontrailのコンチネンタルディバイドやvasqueのブラーよりもよく、レース中もほとんど靴の中での足のずれを感じずに走れた。そのおかげもあって、足先への負担もだいぶ軽減された気がする。
あと、ライトは今回のために、BlackDiamondのIkon(一番明るいやつ)と、「閃」の100ルーメンを購入。これが二つ合わさるとすさまじく明るい。全く不安感は無く、深夜のくだりも激走できた。

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スタートはかなり前の方に位置し、前半での渋滞を回避。そこまでオーバーペースと感じることも無く、いい具合に今熊神社、入山峠までいけたと思う。しかし、ここから第一関門の浅間峠あたりまでの上り基調のアップダウンの繰り返しが、結構きつかった。

全体を通して、前半のペースがなかなかあがらなかった。入山峠辺りまではよかったのだが、その後の浅間峠過ぎ辺りまではどんどん抜かれていく。どこかが痛いとか体の不調があるわけではないのだが、なんとなく体がこれ以上上げるのを拒んでいるというか。
自分の傾向として、ロングのレースではなかなか前半から上がらないのはわかってたので、今回は意識的に上げたのだが、その先がなかなか続かない。何故だろうか。気持ちの問題もあるし体力もあるだろうか。
終わった後も、いつもに比べて余裕が残っていたし、周りからも余裕があるようにみえていたようで、きちんと出し切れてなかったということか。ここにも慎重過ぎる性格がでてしまっている。
より早くなるための次回に向けた課題だ。
浅間峠を16:38(374位)で通過。たくさんのアドベン仲間も応援で来てくれていた。パワーをもらいつつも、不甲斐ない走りに合わす顔もなく。とにかく止まらずに進む。

徐々に周囲は暗くなるなか、土俵岳でライト装着。すごく明るい。この辺りから少しずつモチベーションが前向きになってくる。正直、このあたりまではいつも通り、走る目的が見つからない、時間だった。まだゴールまでもあるし、変な話骨折したらリタイアできるかな、とかそんなことも考えたり。頭がおかしくなりかけてる時間帯。ここが一番弱い。

そしてこの辺りで小さなハプニングが。
事前に仕込んだ地図と予想通過タイムの書いた紙を落としてしまう。
これによって各ピークの標高も分からず。しかしそこまで動揺することも無く、なぜか淡々とのぼりつづけることができた。だいぶ慣れてきたからか、あとどのくらいかと言う情報に対する欲求が減ってきたのか。不思議とほとんど問題なく行けた。

しかし周囲が暗くなり、視野が狭くなり始める頃、徐々にモチベーションが上がり始める。ひたすら淡々と前に進むことに集中。過去2回打ちのめされた三頭山手前の登りに関しても、変な希望的観測(もうすこしで終わりかな、とか)を捨てて淡々と登る。手前の槇寄山を過ぎ避難小屋までくればもう少しと思いながら登っていたら、突如三頭山頂上が見えた。なんだかあっけなく頂上に。今回はここでやられることは無かった。

今回は各ピークでのスタッフの応援が凄まじかった。遠くにまで聞こえる声で、「まもなく頂上ですよー」とか聞こえ、これが本当に励みになる。いくつも幻の頂上になやまされてきている選手にとっては救いの声で、これが各所で聞こえたのには本当に助かった。

三頭山でも止まらず、そのまま一気に下りへ。この辺りから調子が少しずつ出てくる。鞘口峠まで行けば、後は先週の試走コースでもあり、気は楽だった。
第2関門の月夜見では大勢の友人が応援に来てくれていた。20:25、320位と順位を50位ほど上げることができた。

ここでもハイドレーションの補給と、ベルト部分のポーチにジェル系の補給食を詰め替えて即スタート。

ここからの御前山が一番の難関と見ていたが、足も動くし前に進む。スピードは多少落ちてはいただろうが、着実に前にすすむ。いやらしいほど登りを繰り返すことは分かっていたので、そこまで動揺せずに頂上へ向い、そこから大ダワへ向って駆け下りる。例年大ダワでは寝てしまっていたのだが、ここでも止まらず前へ。ちょうど補給の時間だったけど、歩きながら取る。平地なので走りたいところだが、ここは補給優先。

大ダワから御嶽山への途中くらいまでずっと一緒にいった人がいた。顔も見ずに後ろにずっと付いてきていたので、話しながら前へ進む。彼はヤマヤさんらしく、トレランもさることながらランのレース自体初めてとのこと。それでこのタイム速いですよといってるのだが、日の出山の登りで攣らないことだけを考えてる、とか。初めてのレースでペースもつかみずらいのか、ずっと後ろについてきていた。

大岳山もあっさりと登り、ここも止まらずに御嶽山に向って駆け下りる。第3関門に23:28で258位。ここでさらに順位を70位近く上げた。やはり「止まって休まない」効果はでかい。

御嶽神社では思わず給水。これはできれば避けられたかもしれない。ここを避ける、あるいは使用するにしてもボトル分だけにするとか、何か工夫が次回には必要。

日の出山には23:55着。この時点で残り10K。
当初の目標は「12時間台」だったが、もしかしてがんばれば「11時間台」行けるんじゃないかと思った瞬間だった。
ここで一気にエンジンが入る。遅すぎなのだが、明確な目標が生まれ、やれるだけやってみようという気持ちに。

金比羅尾根はとにかく駆け抜けた。試走経験が無いので、どの辺りで後どのくらいなのか分からず。でも途中のあと5km表示の段階で12:30。残りキロ6分なら、トレイルだけど何とかなるかと思い、さらに突っ込む。途中何度もめげそうになりながら、ようやくトレイルを抜けた段階で12:50。ここからはコンクリートと砂利の混ざった激坂をひたすら下るコースと言うことは分かっていた。直前にあきらめかけていた気持ちがまた切り替わり、爆走。足がどうなろうといいと思いながら、前のめりで下り坂を駆け抜けた。あんなこと、普段でも怖すぎて絶対できない。

ロードに出た時点で12:55。これは行けるかも、と思いさらにダッシュ。そしてゴール。
12:57で231位。何とか11時間台を達成できた。

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昨年2回目で13時間40分台だったとき、13時間という壁はとても高く見えた。
しかし、結果的に今年11時間台に。

昨年では決して無理だと思った、「ジェル系のみの補給」とか「止まらず動き続ける」ということができたこともあり、達成できたのだと思う。


と、同時に悔しい反省点もある。


やはり前半が遅すぎる。特に入山峠以降から三頭山辺りまでと、鞘口峠から御前山まで。ここをもうひとふんばりすることで、10時間台は見えてくるような気がする。
金比羅尾根を1時間3分で行けたのは一つの自信に繋がったし、その分前半にもっと追い込まないと後半で挽回しきれないこともわかった。


いつもそうだが、やってる最中は「なんで走ってるんだろう」と思いつつ、また目指すべき目標ができてしまったので、来年に向けてがんばろう。

そのためにも、登りの強化と平地トレーニング。筋トレも通じて減量も。