ハセツネへの道 その4−5 本番当日(御岳山・長尾平<第3関門> → 五日市会館<ゴール>)

第3関門を通過して御岳神社下のトイレで用を足しつつ多少給水。そのまま土産物屋の中を通過して日の出山へ向かう。

いよいよゴールが現実味を感じ始める。まだ10キロ以上あるのだが、10キロという数字にあまり現実味を感じなかった。というか、平時に感じるその距離の長さというものは全く感じず。不思議と体がどんどん前へ進む。歩いている人を抜かしながら、若干ののぼりでも走れる状況だった。前方にいいペースの人がやはりいて、一定の距離をあけながらひたすらその人についていく。

ふと、箱根の神山くだりを思い出す。そこまでだましだましで走ってきた足が、いよいよボロボロになり完全に壊れ、ゆっくり歩くのでも痛くてつらかった()。もしかしたらひたすら前へ前へと歩いている人たちはそういう状況だったのかもしれない。今の自分は幸いにも走れる状況で、そういう人を抜いていけている。


誰かに追走するときは、基本的に20メートルから50メートルくらいあけて走っていた、自分がぴったり後ろに付かれるのが嫌だったと言うのもあったし、変に近づいて抜かそうとしているとか思われるのも嫌だったので。ある程度距離を開けることで相手にも気を使いつつ、自分としては心地よく走れる距離感。


日の出山頂上に着いたのが1:15。本当に美しい夜景が眼下には広がっていた。アドベンチャースポーツマガジンに出ていた夜景そのもの。あまりの美しさに写メをとるが、もちろんうまくはとれず。この時点で残り約10キロ。もしかしたら14時間を切れるかもしれない、と心の中で欲が出る。体の状況も悪くないし、ここから先の金比羅尾根は基本下りなので、行けるのではないかと改めて思い、走り始める。



この区間もひたすら速い人に着いていった。下りで一瞬はなされながらも、登りや平地ではペースを維持し、ひたすらついていく。そして金比羅山付近で抜く。

そこから先はひたすら飛ばした。正直、太ももが吹っ飛んでしまうのではないかと思うほど、重力に任せて駆け下りた。金比羅神社を過ぎ、舗装路に入る辺りで一人抜かれながらも、それ以上にこの区間でだいぶ順位を上げたと思う(393位→354位)。でもこれは狙ってやったわけではなく、自分のペースで走った結果として得たもの。そのお陰で、14時間を切ることが出来た。

2:53:46ゴール。354位だった。


箱根のときのような感動的ゴールとはならなかったが、過酷の試合を戦い抜いた感はあった。
ゴール後は呆然とパイプ椅子に座りながら、寒さに若干震えつつトン汁を飲んでラーメンを食べた。



その後体育館に戻り、着替えたり軽くストレッチをした上で、3:30頃に仮眠。
まだそんなに体育館には人はいないが、寝袋に包まって眠っている人もちらほらと。

7:30頃目を覚ますとだいぶ人は増えていた。それでもこれからゴールをする人も多数。
とりあえず荷物を片付けて、帰る準備。cw-xを脱いで寝た結果、全身激しい筋肉痛。少しでも動かすと激痛が走る。加えて左足の膝は腫れ上がっていた。それでも動かない上には帰れないので、少しずつ体を動かして駅へ向かう。

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今回は不思議と感動と言うものが激しく湧き上がってこなかった。とにかくやり遂げた、というか、一つの区切りを付けられたという安堵感と言うか。アドベンチャーから始まった自然との付き合いも、1年を経て一定のレベルには来れた。そういった意味での区切りは付けられたのかもしれない。