「THE NORTH FACE エンデュランス ラン OSJ ハコネ 50K」 その3

第一関門の芦ノ湖展望公園で15分休む。ストレッチをしてアミノバリューを補給して*1スタート。アップダウンが繰り返されるがそこまできつくは無い。ただ下半身にはだいぶ疲労が溜まってきたようで、徐々に重くなってくる。この箱根旧街道に出るまでのトレイルも左手に時たま芦ノ湖が見えたり森の中を走ったりと景色が変わり気持ちがよい。山伏峠付近に12:30頃到着。ここで10分休憩。
途中登りもありながらも全体としては芦ノ湖へ向かって下っていく。ここあたりで、薬局で買っていたウィダーインゼリーとかいったゼリー飲食物が全然効かなくなってきたので、先述したパワージェルを始めて摂取。これが驚くほど効く。摂取して30分した頃から、ふくらはぎの疲労感が消えて足が動くようになった。下りも走り、登りもいいペースで歩いて進む。海ノ平には13:30に到着。

ここからは芦ノ湖湖畔へ降りて行き、エイドステーションを経由して9キロの砂利道を湖畔沿いに進む。この辺りに来て結構疲労が強く出てくる。でもまだ20キロ以上ある。
加えて砂利道の前に舗装路を走ったりと、堅い路面を走ったことで右ひざが徐々に痛み出す。
でも、とりあえずは前に進まなければということで進む。途中2回目のパワージェルを摂取して前に進む。平地でだらだらと続く9キロは精神的に長く感じる。


第2関門の芦ノ湖キャンプ場に着いたのが15:10。15分のストレッチをして進むが右ひざが痛い。15時を過ぎたのでライトチェックをして出発。
ここから今回のコースの最高到達点である神山へ向かってひたすら登り。


ここが今回のレースで一番きつかった。今回のレースでというよりもコレまで生きてきた中でもかなり上位に入るきつさだった。普段はあまり無いのだが、本気でくじけそうになる。途中全く歩けなくなり、2回ほどなんでもないところで休んだり。
もうこの段階になると他人のことが全然気にならなくなる。まさに自分との戦い。自分と同様か分からないが、各自が自分のペースで途中休んでいたりする。
若干頭も朦朧としてくる中で、何とかこの肉体的、精神的状況をよい方向へもって行こうと試みる。よくわからないけどおにぎり食べてみたり、ストレッチをしてみたり。パワージェルはぎりぎりまで取っておこうとなかなか使えなかった。

なんだかよく分からないけど、マツウラアヤの唄が頭の中を流れてウザイ。気になって、疲れてしょうがないので取り去りたいのだが、気を抜くと流れている。

自分の体が1つのモノ、1つの器であるという実感を強く持つ。精神、意識というものがあって、そこで何らかの決定をしているのだが、所詮自分の体というものは、骨とか筋肉とかがつなぎ合わさったものなんだということ。メンタル面で前向きにいても、パーツが故障してたら動かない、動けない。非常に冷静に自分の構成要素でるパーツを見つめ、分析する時間が増えてくる。



通り抜けていく人が声をかける。

登り続きますねー。
ほんとですねー。

ほんのこういう、ちょっとしたやり取りで、自分が箱根の現実世界に戻ってくることが出来る。きづくと自分の意識はどこかへ行ってしまっていた。


神山まで第二関門の芦ノ湖キャンプ村から標高差700m。
それでも何とか、抜かれながらも手前の淵ヶ沢分岐付近までたどり着く。
こんなところにも、ノースフェイスのスタッフウェアを着た人がいた。感激。
一言静かに、

お疲れ様です。
あと少しで頂上です。がんばってください。
コースは左手です。

とかけられる。
一気に元気が出てくる。

今回のレースでは、本当に多くのスタッフに助けられた。
どの区間にも一定の間隔ごとに必ず誰かがいて、声をかけてくれる。
神山頂上まで上りきって、そこから降りていく途中も、何もないところにスタッフが立っていたり、励まされた。こうした運営スタッフがいるからこそ成り立っていて、本当に自分が完走できたのもこうした方々のお陰以外の何ものでもない。感謝したい。

神山頂上に17:50着。
神山後はひたすら下りだったが、もう既に足はぼろぼろで特に右ひざが完全にダメになっていた。下りは登り以上に膝にくる。ここの下り自体は、体に問題が無くてもハードな道。神山は登りも下りも全身を使っていかないと進めないようなハードな道だった。
ただ制限時間内の完走も見えていたので、ここまでくるとさすがにあきらめられない。


どんどん抜かれていく。ゆっくり歩いてひたすら山を下っていく。
辺りは徐々に暗くなっていく中、一人で先の見えない木立をゆっくりと歩いて降りていく。
非常に孤独な作業。

それでも何とか早雲山のケーブル駅に到着し、あとは舗装路をゴールへ向かって進む。
ゴール到着時間は18:46。神山頂上から1時間も経っていないとは思えないほど、精神的には長い時間だった。レース前半から中盤の記憶が全てすっ飛んでしまうほど、この神山を巡る登りと下りは苦しすぎた。

最後は箱根登山鉄道の線路沿いを走りながら、多くの住民の方やスタッフの方、さらには走り終えた選手の皆さんが拍手と声援で後押ししてくれる。不思議と小走りで走れる。

ゴールの彫刻の森美術館では、誰も待っていないはずのゴールで、見ず知らずの人たちが自分へ向けて大声援。
多くの人がゴール付近で呼び込んでくれる。感動のゴール。


自分は比較的感動しやすいので、ちょっとこれはキタ。最後の最後で。
走っている途中、何度とやめたくなり、二度とやら無いなとかも思ったけど、こういうことをされるとまた走りたくなる。


とりあえず今回の反省点としては、

・前半は飛ばさずに故障をせずに完走を目指す。特に膝と腰。
・食料はそんなにいらない。重くなる。パワージェルとアミノ酸くらい。
・水は多いかと思ったけど、500ミリを2本と1リットルくらいは必要
・休憩は計画的に。休まず歩き続けるほうがベター

帰りは満員の箱根登山鉄道で降りて、箱根湯本のやじきたの湯で疲れを癒し、電車で帰宅。

*1:今回のレースではコース途中のエイドステーションで水とアミノバリューの無料提供がされていた。やはり水を持って走るとはいえ途中で尽きてしまうためコレは非常に重要だった。特に気温も高かったし。