とれとれ上州飽馬ラリー


アドベンチャーレースで何度も耳にしていた「とれとれ」。
正式名称は「とれとれバイク」というようなのだが、里山を舞台にMTBに乗ってオリエンテーリングするようなレース。といっても、あくまでも個人個人が集まったツーリングなので、ほんと仲間内で集まってやってるような雰囲気なのだが、これにようやく初めて参加した。そして、自分の体感してきた「地図読み」の世界の狭さを思い知らされた。

今回はワイルドライフ会長に誘われて、上州飽馬ラリーへ。とれとれには2日間にかけて行なわれる「シリーズ戦」と、1dayの「ミニ」などがあるようで、今回はミニ。しかし中身は超濃密で、ポイントを途中まで周っただけでかなりおなか一杯になりそうな感じ。


あと、とれとれ特有のルールというのが色々とあり、有人(CP)ポイントとクイズポイント(QP、そこに行けばわかるクイズを事前に出されていて、その回答を有人ポイントで回答する)があったり、また関門ごとにペナルティーを課される時間があったり、さらに指定した方向からポイントに入ってこないとさらにマイナス○時間とかあったり。。。
地図には全てのルートが書き込まれているので、そのとおりに行けばいいといえばいいのだが、そもそもそのルートをきちんと把握してそのとおりに行くということがすさまじく難しい。むしろ地図なんて読まないで、地形を見たほうが絶対いいだろうという話も。

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1日のレースなので、朝4:00に会長に迎えに来てもらい、安中市へ。7時前に到着し、しばし休眠。8時から受付を開始し、地図をもらってブリーフィング。
そして9:10頃緩くスタート。

最初のCP3までが難しかった。まずここで大量ロスト。後で聞いたが、全体的に標高が低い分、里から山にアプローチする道がかなり多数走っている。また地形も細かく変化していて、1/25000の地形図では表現されない程度の変化が多数あり、読みづらい。
ただ薮はそこまで濃くは無いので、こういうケースでは道を必死に探すのではなく、むしろ地形を冷静に読んでひたすら稜線上を行くのか、どのタイミングでどちらの尾根に下りるのかとか、そっちを重視すべきとのコメントをもらった。納得。逆に薮が相当濃かったりしたら、必死になって道を探したりもするとか。


序盤だったこともあり、またつい集団のペースに惑わされて自分で確実に場所を確認できてないまま前に進んだりしてしまった。初のとれとれということで焦りもあり、全然ダメだった。途中で一度道まで戻り、そこから再度やり直し。ようやく現在地を確認しながら進んでQP2を取りCP3へ。道に迷いすぎるとQPを忘れてしまう。QP2もその前を通っていながらチェックし忘れ。QP3の時点で10:20。


QP4からQP5にかけては山の山頂までをひたすら行く。途中担ぎもあり、なかなかハード。この辺の上りはアドベンでも何度もやってるのでどんどん前を抜いていく。とれとれでは、所々のポイントにコメントが書いてあって、「薮を突破」とか「踏跡薄い」とかそれを頼りにもしつつ進む。さすがとれとれ、のぼりの後には楽しいトレイルが待っていた。特徴的なのが、きれいに整備されてないので気を抜いて突っ込むとロストしてしまうというあたり。こういうところでも、事前にどこまでは稜線上を行けばいいとか、その辺りさえ頭に入っていれば恐らく迷わないのだろう。
QP6の電波塔をとって、一度舗装路に出て再び山中へ。この辺りから前後に人がいなくなり始め、そして少しずつ迷い始める。QP7のポイントは舗装路に出るところなので分かりやすかったが、そこまでの竹林はなかなかハード。なんとなく道はあるので進むが、途中何度も止まって確認。


再度舗装路に出てまた登る。そして山へ。このQP8に向けてのルートも迷った。やたら道があるのだが、この辺りからとにかく周囲の地形に神経を集中させ始める。多少の試行錯誤は繰り返しながら、QP8も道通りに見つけ降りていく。
ここで少し油断してしまい、あと数十メートルでPC9のところを西の沢に逸れてしまい、舗装路を逆走。これはもったいなかったー。指定方向外で30分ペナ。
エイドの充実ぶりには大変助かった。というか、補給をなめていてほとんど持ってきてなかったので、ここでバナナやコーラを摂取。チョコレートとかとにかく食べた。


しばし休んでQP9へ向う。序盤はタダの舗装路なのに、完全に集中力切れ。なぜか道を逸れて先にCP11へ出てしまった。逆にここで有人ポイントに出合えてよかったくらい。
実はこの時点で何かの拍子に自分の時計が1時間ずれてしまっており、制限時間過ぎてるのにELじゃないと言われた、とか勘違いしてたのもあった。
気を取り直してQP10まで登りあげる。その後のトレイルは鉄塔道沿い。ここも若干の試行錯誤をしながら(記憶なし)、何とか下まで降りた。舗装路に出てPC11へ向う。
この辺さらりと書いてるけど、どの下りもなかなか道が分かりづらく、かなり不安ではあった。どれも一定レベル以上はあるし、それだけでおなか一杯なくらい。


PC11の時点で13:45。PC12の関門が14:30なので、厳しいかと他の人と話しつつ、もうかなりおなか一杯なんですがとも思いつつ、出発。ここでも当然大量に補給。
集中力切れもあり、スタート直後で道外れたり全然ダメ。なんとなく集団についていくも、ここで自分で場所を把握しなければということで何度も止まり、それもあって離される。


このQP12を挟んだエリアが、優勝した人も他の皆さんも言っていたが、かなり難しいコースだった。
自分の場合、QP12までは何とか行けたのだが(一瞬通り過ごすが、なんとなく石が散乱してるのが気になり戻ったらQPがあった)、そこからの下りが超難しい。地図上には石の祠を左とか、ピークからの下り始め踏み後薄いとか、色々とあったけど、疲労がかなり来てる&集中力切れの状況では、目で地図が見えてても考えられてなかった。行き過ぎた道を担ぎで戻ってやりなしたり、地図上の現在位置確認では西に行くべきなのになぜか北東の道を探してたり(これは今から思えばありえなかった。なぜか尾根をひたすら担ぎで下り、道がなくなるまでいってしまってた。そこで冷静に担ぎで戻ったのでよかったが、あのまま投げやりに行ってたらやばかった・・・)。この辺りで、真剣にやばいんじゃないか、遭難するんじゃとか思い始める。
そもそもアドベンの場合は仲間がいるからいいけど、これは個人の種目なのでひとりで迷うと誰もいないし。本当に個人の精神的な強さを問われている気がする。そしてそれを女性として一人でやっている人々は、本当に凄いと思った・・・


なんとか担ぎでのぼり戻った辺りで人に会い、そこでようやく自分が完全におかしくなっていたことに気付く。認識してる現在位置と、進もうとしている方向が完全にずれている(一つ先の変化のポイントばかり考えてて、そこにいる前提で考えていた)ことに気付き、修正。


あとは何とか下りきり、CP13で関門オーバー。QP14及び15は不通過で、ロードでアリベ(ゴール)へ向う。

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終わってから振り返ってみて、上述の技術的な諸々の発見に加えて、色々と感じることたくさんで、一言で言うなら「また、新たな世界を知ってしまった」という感じだった。大変刺激的な一日。
なんというか、今まで経験したことのない、まったくの別種目と言う感じ。


考えてみると、
・地図読み(高速でオリエン)
MTBスキル
・体力(担ぎとか登りとか)


の3つを同時にやれるというのはかなり便利だし、その分本当に強くないと勝てない。


まあ、優勝者をして今回のコースはなかなか難しかったということもあり、またロストはしつつも一応は自分ですべて解決してコースに復帰できたというのは、数少ない成果かも。何よりもこの凄まじい経験(ロストしてるときの恐怖感も含め)自体がいい経験だった。



とれとれの皆さんは非常に優しく、終了後の温泉で会ったときも皆さんさまざまなアドバイスを。この中で鍛えられたらかなり強くなる気がする。とにかく、こんな難しい地図読みしたのは初めてというくらいの衝撃を受けた日曜でした。