中村征夫写真展 海中2万7000時間の旅

25歳の誕生日、僕は一人でグアムに居た。

と、書き出すとなんだかか小説みたいだなと思いつつ、しかしこれといってドラマティックなことも無く、ぐっとくる理由も特に無かった。
単に仕事がすこし落ち着いたこと、かなり前からダイビングのライセンスを取りたいと思ってたこと、この季節(1月下旬)で最安でライセンスを取れる場所がたまたまグアムであった、という理由から、グアムにいただけだった。

それ以来約1年半、既にペーパー・ダイバー化しつつあるが、来週沖縄に行く予定。今度はアドバンスのライセンスを取りに。

中村征夫は40年以上もの間世界中の水中写真を撮影してきた写真家。彼の作品展が東京都写真美術館で開催中。

海中の写真を見るたびに、世の中にはこれほどまでに多様な「色」が(自然界に)存在しているという事実を思い知らされる。

同時に、今回の展覧会では終盤でモノクロームの世界が用意されていた。
水中写真ほどモノクロームが合う世界は無い。
海の深遠さ、静寂さ、そういった場の空気(は無いのだけど・・)をモノクローム写真は伝えている。

ダイバーは大きく2種類に分けられるらしい。一方は「海中生物派」、他方は「地形派」。海の多様な生き物に魅せられて虜になる人もいれば、ダイナミックな自然にとりつかれる人も居る。僕の場合は後者。
作品の中では、水中に一筋の光が差し込んで一点が照射されているものがあった。

水の中では光さえも可視化される。とても神々しい。